老齢雑感

ーあのとき僕はこう思ってたんだー

ロシア国民の心の謎

 ほっこり精一杯の推論です

 

1)ロシア戦勝記念日

 

 昨日(5/9)午後、NHKが、ロシアの

 戦勝記念日でのプーチン大統領の演説

 を報じました。

 

 77年前、旧ソ連ナチス・ドイツに勝

 利した日を祝う行事での演説です。

 

 

2)優等生の演説

 

 プーチンの演説は、(今後いろいろな

 解説や評価があるとおもいますが)、

 ウクライナ侵攻の大義に、キズを付け

 まいとの思惑からか、極めて優等生的

 な演説でした。

 

 

3)77年前の痛みと憎しみ

 

 プーチンの考える、ウクライナ侵攻の

 大義は、一度封じ込めた悪、ナチス

 ドイツの亡霊を、ウクライナが西側を

 巻き込んで復活させ、ロシアを世界か

 ら孤立させようとしている、だから、

 やむを得ない戦いなんだというものの

 ようです。77年前の痛みと憎しみが頼

 みの綱のようです。

 

 

4)ロシア国民の思いは?

 

 今、世界中の人がそう感じていると思

 うのですが、ロシア国民はなぜ、こう

 も、プーチンを信じ込んで疑わないで

 いられるのか? まったく謎としか思

 えない、キツネにつままれたような気

 分だと思うのです。 

 

 ロシア国民も、77年前の痛みと憎しみ

 の中に、ずっと閉じ込められたままだ

 ったのでしょうか?

 

 ロシア国民の心をどう解釈すればいい

 んでしょうか?

 

 ここからは、ほっこりの、まったくの

 ドンブリ勘定推論です。

 2つあります。

 

 

5)一つ目は、領土喪失への忌避感情。

 

 世界中どこの国でも、日本でも、領土

 問題はセンシティブです。

 

 領土を失うことは、絶対にあってはな

 らない、というのが国民感情の基本的

 なところにあると思うのです。

 

 長いロシアとウクライナの歴史の絡み

 あい、ねじれ合いの中で、ウクライナ

 東部は、ロシア国民にとって「本来は

 自国の領土」というような歴史観、共

 通観念のようなものが為政者によって

 形成され、定着させてこられたのでは

 ないでしょうか? 

  

 『本来は自国の領土、それをプーチン

 は死守しようとしている。ロシア国民

 だけが、この問題で一方的に損するな

 んてありえない! 世界がなんと言お

 うと、この戦い、プーチンの戦いはロ

 シアのための崇高な戦いだ』と。

 

 でも、それは同時にウクライナ側から

 すると、『盗人猛々しい話』というこ

 とになるかと思います。

 

 

6)もう一つは根源的な好き嫌いの感情

 

 2014年の戦勝記念日に、親ロシア派の

 地区ドネツクで、戦勝パレードにウク

 ライナ兵捕虜が歩かされ、親ロシア派

 の市民から石を投げられたという2014

 年の記事があります。

 

 これを見て、KKKの黒人排斥とか、西

 欧におけるユダヤ人排斥とか、世界中

 の歴史の中にある、異質なものや差異

 ある者を社会から排除しようとする、

 人間の根源的な欲求、好き嫌いの感情

 の爆発を感じないではいられませんで

 した。

 

 それは今、日本でも嫌韓感情とか嫌中

 とかあるわけで、ロシア国民に特別な

 ものではありません。

 

 異質な者を意識するのは、人間が生き

 物として自己の生命の安全を保とうと

 する、根源的な欲求であり、そういう

 意味で差別意識は誰にでもあるもので

 それは否定しなくてもいいと、ほっこ

 りは考えます。

 

 ただ、人間は、社会的、文化的な存在

 へと成長してきたなかで、異質な者と

 の妥協や融和、友好の心も育んできた

 し、動物的な意識や感情だけで働きか

 けることの危うさも多く学んできてい

 ます。

 

 にも拘わらず、この差別意識、好き嫌

 いの感情が、そう理性的に、論理的に

 コントロールし尽せないということも

 最近、何度となく触れてきたところで

 す。

 

 好き嫌いは、その人らしさを形づくる

 大事な心の働きでもあるわけで、そう

 いう重層的で錯綜をなすと思われる、

 好き嫌いの複雑な感情から、マイナス

 面だけ取りよけることの難しさだろう

 と思います。

  

 ロシア国民のウクライナへの思いの中

 で、そういう好き嫌いのマイナス感情

 が働いていないかどうか。そして、そ

 の感情が為政者に利用されて来ていな

 いかどうか?

 

 そういうことを思うわけであります。

 

 

7)あくまでほっこりの推論ですが

 

 その仮説を推し進めた先で、じゃあど

 うしたらいいといいたいのか?

 

 そこです。

 

 ウクライナ国内にも様ざまな考えがあ

 るでしょうし、欧米各国とのからみも

 様ざまあるでしょうし、

 

 ひとことで言えば、まったくわからな

 いのですが、

 

 ただ、勝ち負けで解決してはいけない

 勝ち負けの問題ではない、勝ち負け派

 に、この問題を委ねてはならないとい

 うことだけは、漠然とそう思うのです。

 

 

・・・・・追記2022/11/09・・・・・

 

 ユーチューブに

 「ロシア人にインタビューしてみた」

 という動画がアップされてます。

 

 上の記事を書いたときには

 まだ上がってなかったみたいです。

 

 ロシア人の青年たちが

 ロシア国内の公園や街中で

 普通の市民にインタビューしてます

 

 現政権を肯定する人もいますが

 そうでない人達も少なくありません。

 

 プーチンが人を分断していると

 言い切る人もいました。

 

 どこの国の市民も

 市民は皆同じです。

 改めて、そう確信しました。