老齢雑感

ーあのとき僕はこう思ってたんだー

思い込みの記 佐野真一さん亡くなる

 

 佐野真一さんが亡くなりました

 

1)毎日新聞記事配信)

 

  『「東電OL殺人事件」

   「だれが『本』殺すのか」

   などで知られるノンフ

   ン作家の佐野眞一(さの・しん

   いち)さんが26日、肺がんのた

   め亡くった。75歳。葬儀は近

   親者で営む。日、お別れの会

   を開く予定。・・』

 

 「安倍氏国葬」の見出しの少し下に

 この訃報の見出しも並んでいました

 

 

2)思いさまざま

 

 佐野真一の本を読んだ人たちが

 コメント欄に、

 さまざまな思いを寄せています。

  

 ほっこりは、『東電OL・・』と

 『甘粕・・』しか読んでいないです

 が、『東電OL・・』には、少し思う

 ところがあります。

 

 

3)リアルな冤罪事件でした

 

 あの本を読んだのは、

 2000年頃でしたが、読んだら、

 ゴビンダさんが犯人だとは

 全く思えなくなりますよね。

 

 無実の可能性の極めて高い人が、

 自分が、この本を読んでいる、

 今この瞬間にも、刑務所の中で、

 自由を奪われたまま生きている。

 

 そんなことがあって、

 いんだろうか?

 俺は、この本を読んで、

 読み終わって、本棚にしまってって

 それで済まして、本当にそれで、

 いいんだろうか、みたいな思いに

 捉われました。

 

 

4)偶然ながら現場に

 

 ちょうどそのころ、仕事の関係で、

 あの辺のクラブみたいなところで、

 客先の祝賀行事があり、

 同僚と出かけ、開始までに

 少しだけ時間があったので、

 二人で神泉駅前に足を延ばしました

 

 アパート、まだ、ちゃんと

 ありました

 

 

5)東日本大震災が起きた 

 

 ゴビンダさんのことは、その後も

 ずっと頭の片隅にありました。

 

 そして、2011年東日本大震災

 

 震災直後の世情は、もう、

 我々はだいぶ忘れかけて

 いるんですが、

 あの時の人々の心は

 今から思うと信じられないくらい

 清らかでした。

 

 世界から寄せられる

 励ましのメッセージに接して、

 我々は、初めて、グローバルな、

 世界の国々との遠さと近さ、

 ということを実感しました。

 

 千年に一度というほどの

 苦難の中にあって、なお

 冷静に黙々と前を向いて歩み続ける

 同朋への、世界からの賛辞を

 ともに寿ぎ合う思いでした。

 

 ネットの中傷問題

 なんかが起きるのは

 安倍さんの第二次内閣が

 スタートした2012年末、

 以降のことです。

 

 ちょうど、そんな時に、

 ゴビンダさんの再審開始の

 ニュースが流れたのです

 

 

6)あくまで思い込みですが

 

 埋もれつつあった冤罪を、

 地震が地中深くから揺さぶり出し

 自分たちに、ちゃんと見なさいと

 示してくれた! 

 そんな気がしました。

 

 実際のところは、わかりませんが、

 あの頃、日本中に充満していた

 人々の清らかな思いというものは、

 再審の審理を動かすほどの

 エネルギーに満ちていたと、

 ほっこりはそう思っています。

 

 ゴビンダさんが

 自国に帰られる姿を

 ニュースで見た時に、

 ほんとうによかったと、

 心から思いました。

 

 『東電OL・・』の自分の読書が、

 やっと完結したような

 気にもなりました。

 

 

 ご冥福をお祈り致します。