老齢雑感

ーあのとき僕はこう思ってたんだー

永井路子『太平記紀行』

   終読(読み納め)シリーズ

 -本棚を空にしてあの世へ行こう-

 

1)1970年代の本です

 

 『太平記紀行』

 永井路子著 1974年刊行の本の

 1990年の中公文庫版。

 

 これも、ずっと積ン読だった本。

 

 

2)『鎌倉殿の13人』のあとの世界

 

 NHK『鎌倉殿の13人』は

 もう、去年の放送になるんだ

 もう、終わってから

 3か月も過ぎようとしてんだ

 と、いま、改めて思い知ってます。

 

 つい昨日のことのような

 余韻の中にまだいます。

 いや、面白かった。 

 

 あのあとの時代の話と言いますか、

 

 あの鎌倉・北条政権が滅亡し

 南北朝時代へと流れていく

 いわゆる『太平記』の時代の

 ゆかりの地や寺々などをめぐり

 

 後醍醐天皇楠木正成

 『太平記』の主人公たちへの評価の

 若干の見直しを試みた作品です。

 

 

3)時代を動かすエネルギー

 

 永井さんは

 北条政権打倒ののろしを上げた

 後醍醐天皇の歴史的意味合い

 

 そして、

 後醍醐天皇に同調した勢力の

 意味合いを

 以下の4グループに分けて

 話を進めるのですが、

 

 ①足利尊氏新田義貞ら対抗勢力

 ②中堅武士団勢力(体制内野党)

 ③悪党(体制外野党、新興勢力)

 ④寺社勢力

 

 実は、④の寺社勢力が、

 後醍醐の後ろでも

 ③の悪党らの後ろでも

 絶大な資金力と組織力でそれらを

 支えたり、駆使したりして

 いたんではないかということを、

 紐解いていかれます。

 

 面白かったです。

 文庫本で200ページほどで

 ページの字数も少なめなので

 なんか、ほとんど一気に

 読んでしまいました。

 

 

4)戦記物知らずの意見です

 

 ほっこりは、

 こういう戦記物とか詳しくないし

 何せ、「読書感想文派」なので

 こういう"論"の位置づけとか

 よくわかりませんが

 

 Wikipedia

 後醍醐天皇楠木正成

 ざっと読むと、

 

 まあ、wiki は、性格上

 箇条書き派なので、

 面白おかしく書かないでしょうけど

 

 永井さんの視点からの"論"は

 取り上げられてないように

 感じました。

 

 

5)寺社勢力に興味あります

 

 実は、いま『徒然草』を

 読んでいるんですが、

 

 『太平記』の時代

 (1318~1368;Wikipedia)と、

 世に言われている『徒然草』の

 執筆推定時代1330~40年代は、

 相当重なります。

 

 今まで、読み飛ばしてきた

 登場する人物名とか、寺社などを

 wiki やネット検索で、じっくり

 読み込んだら、これが実に

 面白いわけです。

 

 仁和寺の「院」とか、

 そうか、これって、皇族の隠居後の

 天下り先なんだ、

 

 紀尾井町あたりにある

 全館、外郭団体の入居ビル

 みたいなもんなんだ

 

 とか、思えてきて

 

 で、大覚寺統持明院統とか

 京都と鎌倉とか、そのどっちにも

 縁のある兼好さんの立ち位置とか

 そういうところに兼好さんは

 いたんだ、

 

 ていうのがうっすら見え出したら

 今まで、そういう見方なしに

 書いてある話だけ読んで

 それが『徒然草』なんだと

 思ってたわけだけど、

 

 なあんだ、兼好さんだって

 ちゃんと、世間の空気の中で

 息してたんだ!

 

 判然としない終わり方の章段なんか

 やっぱ言葉のみこんでたんだ

 みたいな読み方になり

 それが面白くてたまらず、

 

 最近、書き込みしてなかったのも

 その途中だったからでありました。

 

 そして、

 

 でも『太平記紀行』を手にしたのは

 寺社勢力の話が読みたかったから

 というわけでなく、読んでみたら、

 たまたまそうだっただけなんですが

 

 こういう同時性っていいますか

 シンクロニシティって

 ありますよね。